Twitterを見てましたら、ある方からの拙著「残念な人の思考法」へのコメントがありました。

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「いわゆる「無能な働き者」論が。これジャック・ウェルチの言葉からきてるんすね。「考え方の異なるものは排除せよ」。これは集合知の論理とは相容れませんな。」
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私の説明不足でしたので、補足説明します。

述べられている「集合知の論理」とは、異質な人間が集まることによって新しいアイデアが生まれる、少数の優秀な人間の判断よりも、多数の普通の人の判断のほうが結果として正しくなる、といった論理のことを指しているのではと拝察します。「みんなの意見は案外正しい」でうまく説明されているようなことかと想像します。

一方、私がジャック・ウェルチの言葉を借りて表現しようとしていた「考え方」とは、上記のことではありません。
業績を上げている企業は、必ずといっていいほど、会社が求める「価値」を示しています。それは、社是とか、ミッションとか、お客様との約束、行動指針等で表現されます。

たとえば、三菱商事の三綱領マクドナルドのQSCVなどです。

私が言いたかったことは、いくら業績を上げている社員であっても、これらの、企業が大切にする価値を実践しない人間は難しい、ということです。

もう少し具体的に申しますと、たとえば私が以前いた会社では"Core Value"というものがありました。内容は以下のようなことです。

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Stewardship "スチュワードシップ"
次世代のために、より持続性のある強く優れた企業を築き、ブランドを守り、利害関係者との約束を果たし、当事者意識をもって行動し、人材を育成し、地域社会と地球環境の改善を支援する、という責任を果たす。

Best People "ベスト・ピープル"
我々のビジネスにとって最高の人材を魅了し、育成し、維持する。社員の意欲を駆り立て、”Can Do”という姿勢を発揮させ、協力的で相互に支え合う環境を作り出す。

Client Value Creation "クライアント価値の創造"
クライアントがハイパフォーマンス・ビジネスを実現できるよう尽力する。また、クライアントの期待に応え、深く関与し、首尾一貫した価値を提供することで、長期的な関係を築く。

One Global Network "ワン・グローバル・ネットワーク"
世界中どのクライアントに対しても最高のサービスを提供するために、国際的な見識、関係、連携、知識を効果的に活用する。

Respect for the Individual "個人の尊重"
人々の多様性を認め、一人一人の独自の貢献を尊重しながら、オープンで、信頼しあい、受け入れあう環境を作り上げる。我々の価値観を反映したやり方で一人一人に接していく。

Integrity "インテグリティ"
倫理規範に基づいて確固たる態度で、正直に振舞い、信頼を築き上げる。意味することを正確に伝え、言行を一致させ、責任を持って行動する。
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とあります。いくら売上を上げている人間であっても、一緒に働く仲間を尊重しない(反Respect for the Individual)、私生活が乱れている等倫理に反した行動をとる(反Integrity)人物は、その行動を変えてもらわない限り排除しなければならない、というのが解釈です。

ところで、関連する話として、最新号の日経ビジネス(2010.4.26)を読んでましたら、マクドナルドの原田社長のコメントが出ていました。6年にわたる店舗あたりの売上を増加させ、十分な利益体質になったところで400店の不採算店舗の廃止。
その廃止対象の400店舗の特徴について、以下のような説明がされていました(以下、記事より引用)

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・厨房を拡大する空間的な余裕があるかどうか
・ブランドを毀損するようなサービス品質になっていないか
・家族や子供向けの店舗としてふさわしい立地にあるか
・マクドナルドが提供するメニューをすべて提供できる設備を持っているか、など

つまり、基準は損益ではない。
「閉鎖予定の店舗には、黒字の店舗も100店舗以上ある。最近好調なので閉店リストの中での黒字店の比率はさらに上がるはずだ」と原田(社長)は明かす。
「だが、その利益よりも大事にしなければいけないのは『マクドナルドらしさ』だ。」
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件の主張と通じるものがあるのではないかと思います。